パパ頭の日々のつぶやき

妻子との何気ない日常を漫画にしてます!

温かい嘘

公園のはらっぱに咲くタンポポ
息子がそれを踏んづけてしまいそうになった時、私は思わず言った。
「踏んじゃったらお花だってイタイよ。可哀想だから避けて通ろうね」
次の瞬間に気付く。
私は今、嘘をついた。
花に神経系はない。
まして感情を抱くはずもない。
踏んでも痛くないし、自分のことを可哀想だとも感じないだろう。
私の言葉に科学的な根拠はない。
でも息子は頷き、道を変えて歩いていった。

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科学の発達に伴って、人々は合理的な思考を好むようになったように感じる。
他人に何かを説明する時には求められる、科学的な根拠。
客観的で一般的な結論を得る上では望ましい傾向なのかもしれない。
しかしその一方で、ある種スピリチュアルな考え方は、少しずつ居場所を失ってきたように感じる。
こうした変化に対しては、どこか魅力が損なわれるような、色があせるような、優しさが薄れるような、そんな感覚を覚えることがある。
「お天道様が見てくれている」
いや見ていない。
太陽は恒星の一つで、水素とヘリウムの塊に過ぎない。
「お人形さんが寂しいって」
いや寂しくない。
人形はただの物体だ。
「そんなことしたらバチが当たるよ」
いや当たらない。
因果関係のないところに…いやもうやめよう。
こんな指摘はまったくのナンセンスだから。

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「踏んじゃったらお花だってイタイよ。可哀想だから避けて通ろうね」
私の言葉に科学的な根拠はない。
でも息子は頷き、道を変えて歩いていった。
当初通るはずだった道よりも、少しだけ優しい道になったように、私には感じられた。