パパ頭の日々のつぶやき

妻子との何気ない日常を漫画にしてます!

クリスマスの思い出

幼少期、私は本気でサンタを信じていた。
中にはその実在を確かめるべく、あえて夜遅くまで起きたりして、親を困らせる子供もいると聞くが、私はむしろ逆だった。
サンタには気持ちよく仕事をしてもらいたい。
クリスマスの夜、私は寝る前に、机の上にミルクとクッキーを用意、感謝の手紙まで書いて、誰よりも早く床についたものだった。
私ほど、サンタに対して敬意を持っていた子供も稀有であろう。
私はいわばサンタガチ勢だったのだ。

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しかしそんな私ですら、疑問に思ったことがある。
サンタはいったいどうやって、私の欲しいものを把握しているのだろうか?
あるクリスマスのこと、私はそれを確かめるべく、あえて誰にも欲しいものを言わずに、当日を迎えてみた。
私はサンタを疑っていたわけではなかった。
むしろ信じていたのだ。
サンタは何か特別な力を持っていて、こちらが何も言わなくとも、ピタリと欲しいものを持ってきてくれる、そういうすごい存在なのだと。
私は特に何かを心配することもなく、その年も同じように床についた。
しかし翌朝のことである。

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ツリーのふもとを見た私は青ざめた。
毎年プレゼントが置いてある場所に、何も置かれていなかったのである!
瞬間、『ナイトメアビフォアクリスマス』のワンシーンが脳裏をよぎる。
赤い服を着たサンタが、用紙をめぐりながらチェックをつけている
「グッドボーイ、グッドボーイ、ノーティボーイ…」
いい子と悪い子を峻別しているのだ。
当然、悪い子にプレゼントは与えられない。
私は悪い子と判断されたのである!

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その時、父は洗面所で歯を磨いていた。
私はそこまで足を引きずるように歩き、震える声を押し出すように言った。
「今年は…ダメだったよ…」
今にも涙が溢れ出しそうだった。
しかし、そんな私を見た父は言った。
「もう一度よく見てごらん」
再度ツリーのふもとを確認してみる。
すると、奥まった陰のところに、プレゼントはあった!
ただ見落としていただけだったのである。 

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未だに覚えている、中身はセガサターンバーチャファイター
こらえていた涙をボロボロこぼしながら、私は早速プレーに興じるのであった。
おもちゃ屋で、子供の視線の先をたどってみれば、何が欲しいかなんてすぐわかる。
過ぎてみればなんてことはない話。
私は誰にも欲しいものを言ったつもりはなかったが、親からすればバレバレだったのである。

クリスマスになると、毎年家族で集まって食事をする。
そのたびに、この年のクリスマスのことが話題にあがる。
「あの時は焦ったよ。君があんまりひどい顔をしてるもんだからさ」
そう言ってサンタは、優しく笑うのだった。

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