パパ頭の日々のつぶやき

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兼業訴訟 ここまでのまとめ

【 はじめに 】
「教育公務員の兼業のあり方を問う訴訟」について、関心を持って下さり、またご支援くださってありがとうございます!
本訴訟では、育児漫画の書籍化に対する兼業の不許可処分に対して、処分の取り消しと兼業許可、および損害賠償を請求しています。
提訴から約半年が経過し、「結局今どうなってるの?」と混乱している方も少なくないかと思うので、ここで一度状況を整理してみたいと思います。

【 提訴までの経緯 】
2020年7月、私は育児漫画の書籍化について、所属長に相談しました。
その後、申請書は数度の指導を経て、所属長からの「本務への影響はないものと考える」という記載がなされた後、教育委員会に提出されました。
しかし一月後、申請書はそのままの形で返却され、許可は出来なかったとの結果を口頭で受けました。
内規では、正式な申請に対して不許可を下す場合には、通知が発行され、そこに判断の根拠が示されることとなっています。
しかし私は、この通知を受け取ることができず、そのため不許可の理由やその基準を知ることができませんでした。
可否の基準がなくては今後の表現活動について、やって良い事と悪い事の区別がつかず、結果的に活動全体が制限されてしまうと感じた私は、通知の提出を求めましたが応答はありませんでした。
悩んだ末に、私は法律事務所に本件を相談、本件が許可されるべき事案であるとの旨を記した意見書を書いていただき、これを添付して改めて兼業の申請を提出しました。
結果は不許可、この時も口頭でそれを知らされました。
私は前回と同様、不許可通知の提出を求めましたが、返答はありませんでした。
私は、公務員の兼業に関する手紙を書いたり、組織内の労働問題を扱う相談窓口に電話したり、本件処分に対する審査請求をお願いする等、考えうる限りの手立てを取りましたが、いずれも十分な返答を受け取ることは出来ず、提訴するに至りました。
本訴訟では先述した通り、不許可処分の取り消しと許可を求めていますが、本質的に問題としているのは「曖昧な基準で教育公務員の働き方を不当に制限してはいないか」という点にあり、兼業に対する基準の明確化を求めることで、私と同じように制限を受けている他の多くの教育公務員の働き方を改善していくことを大きな目標としています。

【 第一回期日(7月14日) 】
被告側は、本件は速やかに却下されるべきであると主張。
その根拠として、「原告の提出した書式の様式が指定と異なること」を指摘しました。
ここは特にわかりづらい箇所かと予測されますので、少し丁寧にお伝えします。
公立校の教員には、「地方公務員」と「教育公務員」という二つの立場があり、その扱いについては地方公務員法と教育公務員特例法それぞれに記載があります。
兼業についても同様で、両法律にそれぞれ記載があります。
提訴の際にこちらが提出した訴状では、主に教育公務員特例法に依拠して主張を展開しました。
しかし、兼業の申請書はそれぞれの法律に即して2種類あり、私が提出した申請書は地方公務員法に基づくものだったのです。
そのため被告は「書式の様式が指定と異なる」、故に「却下すべきだ」と主張してきました。

【 第二回期日(9月14日) 】
第一回期日での指摘を受けて、私は訴えを、教育公務員法から地方公務員法に基づく請求に変更しました。
その理由としては、例えどちらの法律に依拠したとしても、都が採用している兼職等に関する事務取扱規定を読む限り、許可に必要な基準に大きな開きは見受けられなかったためです。
形式的な違いよりも、本質的な基準を明確にしていきたいと考えました。

【 第三回期日(11月10日) 】
被告側から本件を不許可とした理由が示されました。
被告の主張は「申請書類からは許可判断をするために必要な事実が認められなかったため不許可とした」というものでした。
端的にまとめると、判断のための情報が不足していた、ということであり、具体的には報酬の額や企画の意図がわからなかったため、認められなかったとのことでした。
また被告側の準備書面には、男性が育児休業を取得してその経験を漫画で表現することは、教育との関連性がなく、そうした事業に従事することは、公務の公正を害し、公務員としての職の信用に傷をつけ職員全体の不名誉となる、とありました。

【 第四回期日(12月21日) 】
私は、第三回期日に被告によって提示された不許可の理由、報酬額や企画意図が不明であるとの指摘は前提事実として誤っていることを主張しました。
というのも翻って2020年7月、所属長から繰り返しの指導を受けていた際に、私は以下の情報、予定発行部数、価格、私の報酬額、企画意図、出版までのスケジュール、掲載予定の漫画など、これら全てを伝えていました。
扱われたのは申請書だけでなく、より詳細な情報が掲載された企画書や、所属長からの個別の質問については別途出版社の担当者が作成した回答票まで、そこでは確認されました。
個人情報を含むため訴訟資料としてはアップできませんでしたが、それらは全てデータおよび紙資料として残されており、第四回期日において示されました。
従って、判断に必要な情報が不足していた、という被告の主張は、少なくともそのままの意味では成立しえません。
ここまでの主張を踏まえ、私は被告に対し、審査過程においてどのような事実確認をしたのか明らかにするよう求めました。
裁判所も、この申し立てには争点の関係で意味があるとの認識を示し、被告に対応を指示しました。

【 おわりに 】
ここまで読んで下さりありがとうございます。
今後も、本訴訟が多くの方の益するところとなるよう努めてまいります。
よろしくお願い致します!

ここまでの訴訟資料については、全てcall4のケースページに掲載されています。
詳細は以下をご確認ください。
https://www.call4.jp/search.php?type=material&run=true&items_id_PAL[]=match+comp&items_id=I0000078